1997.8

かりてもらいます??

今月は 学生が「あげる」「もらう」「くれる」の使い方を学習する時に おかしやすい
間違いを紹介しましょう。

1, 「くれる」の使い方はちょっと難しいです。

「チェンさんはわたしに花をあげます。」とは言いません。
誰かが話し手に何かプレゼントした時、プレゼントした人を主語にすると
「あげます」ではなくて「くれます」が使われます。

もし、誰かが話し手の家族(父、母、妹、弟など)に何かプレゼントした時
家族は話し手に属するとみなして、やはり「くれます」を使います。
「チェンさんは母に花をくれました。」というように。

それでは、次の文はどうでしょうか。次の二つの文は学生が間違えやすい文です。
@「チェンさんはあなたに花をあげましたか。」
A「あなたのお姉さんはあなたにかばんをあげますか。」
正しい文は
@'「チェンさんはあなたに花をくれましたか。」
A'「あなたのお姉さんはあなたにかばんをくれますか。」
です。

二人の人が話している時、聞き手が物理的に話し手と近い時または、
話し手が心理的に聞き手の側に立っている時、話し手は「くれます」を使います。
このような使い方もあります。「事務所に行くと書類をくれますよ。」

2,先生から本を借りた学生が「先生に本をかりてもらった。」と間違えて言うことがあります。

「かりる」「もらう」も同じ方向にものが移動する(この場合は先生から学生に)ので
間違えてしまうようです。
重要な点は「−てもらう」というのは話し手が誰かから親切を受けた時に使うということです。
「−てもらう」の前の動詞はその誰かの動作をあらわします。
この場合は先生が本を貸したのだから、話し手である学生は「先生に本をかしてもらう。」
といわなければなりません。

「先生にほんをかりてもらう。」というと、先生に頼んでほかの第3者から本を
借りることになってしまします。

3,「−てあげる」「−てくれる」を使う時気をつけなければならないこと。

@「−てあげる」はだれかがほかの人に親切にする時に使われます。
よく学生が次のように言いますね。
「先生のかばんを持ってあげます。」
「先生に家族の写真を見せてあげます。」
こう言われた先生は学生の親切に感謝しなければならないという感じがします。
ですから、上のような表現を目上の人に使うことは避けたほうがいいです。
「先生のかばんを持ちます。」「先生のかばんをお持ちします。(敬語)」
「先生に家族の写真を見せます。」「先生に家族の写真をお見せします。(敬語)」
といったほうがいいでしょう。
A 「−てくれる」は誰かが話し手に何か親切なことをした時によく使われます。
私達は誰かの親切に感謝しているという気持ちを「−てくれる」を使って表すのです。
下の二つの文の違いが分かりますか。
(1) 「友達がうちに来た。」
(2) 「友達がうちに来てくれた。」
(1) の文はただ友達がうちに来たという事実しか表しませんが
(2) の文は友達がうちに来てとてもうれしい。」という気分まで表します。

では、次の文はどうでしょうか。
「財布をぬすんでくれた。」
「テストの時友達がわたしの答えを見てくれた。」
いやなことをされたのに、感謝の気持ち「くれる」がついた変な文章だということがわかりますね。