1、佐藤: 田中さんは英語が本当に上手ですね。 × 田中: いいえ、とんでもございません。これは、前回の敬語のテストでも取り上げていますが、よく使われているようで、何度も質問のメールが来ました。「とんでもない」は「情けない」「やるせない」と同じように形容詞です。その一部である「ない」を「ございません」と言い換えることはできません。「とんでもないです。」または「とんでもないことでございます。」というべきところです。
2、こんな張り紙がありました。 × この中ではベビーカーはご使用できません。ベビーカーはたたんでお持ちください。敬語は「ご/お ・動詞・ になる」が基本の形です。「ご使用になることはできません。」または「ご使用になれません。」が正しい形です。
3、上司: 初めの挨拶は何分くらいでやればいいかな。 × 部下: せいぜい5分間にしていただけませんか「していただけませんか。」はいいのですが、「せいぜい」というのが対象をみくだして「これくらいのものだ」という響きがあるので失礼な感じがします。「5分以内でお願いいたします。」といえばいいでしょう。
4、商品のパッケージにこう書いてありました。 × ご意見ご要望がありましたら、お客様相談室へご連絡いただけますようお願い致します。「連絡していただけませんか。」というのは丁寧の表現です。意見や要望は客が自主的にやるものなので「ご連絡くださいますようよろしくお願いいたします。」でしょう。「・・ご連絡ください。」デモいいと思います。
5、レジの人が1000円札を受け取るとき × 「1000円からお預かりいたします。」という。「〜からお預かりします。」は明らかに間違い、どうしてこんなに広がったのか不思議です。接客マニュアルを担当している人に一度聞いてみたいと仲間でよく話しています。「1000円お預かりいたします。1000円から980円いただきます。」を省略して言っている感じです。
6、社長: 部長はどこかね。 ○× 平社員: 部長は会議室におられます。 わたくしどもで集まった際にこの事について意見を出し合いました。 「おられる」については半分に意見が分かれました。 「おる」を謙譲語と見るか丁重語とみるかによってかわります。 *謙譲語とみる人は間違いであるという意見です。 広辞苑では上から下によく使っていたので、人を低める感じになるとあります。 *丁重語、または「いる」の古い言い方とも考えられるので、「おられる」と敬語の形にしたものは仕事の場ではかなり広く使われているようです。 新明解辞典などではこの立場をとっています。広辞苑にも「いる」の改まった言い方という説明もあります。 敬語の本を色々調べても意見は二つに分かれていてどちらかに決めるのは難しそうです。現在では容認派がふえているようですが、少数でも違和感を感じる人がいる場合は使わないほうが安全かもしれません。いらっしゃるといえばすむことですから・・。
7、(返品を持ってきた客に) × あちらのレジで払い戻して、いただいてください。客の動作にいただくという謙譲語を使っているので失礼。
8、(店員が客に) × この品ならばきっとご満足していただけると存じます。(お入りいただく 入っていただく 、ご利用いただく 利用していただく)のように、「お/ご」と「して」はいっしょには使いません。
9、(上司の部屋へ来客を案内して) × 課長、日本商事の山本さんをお連れしてまいりました。 「参りました」は客の前で上司をたてるので失礼。 更にいいのは「山本様をご案内しました。」「山本様がお見えになりました。」
10、デパートでカードを作るとき × 「こちらにお客様のお名前様をお書きください。」これもおかしいけれど、どんどん広がっている使い方です。先日、新聞に「何名様」というあたりからだんだん許容範囲が広がったのではないかという意見が載っていましたが、これも接客マニュアル作っている人に聞いてみたい事のひとつです。皆様はどうお考えでしょうか。ご意見ご感想のメールをお待ちしております。
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