Japanese

私の財布はすりにぬすまれた?

先月私達は受け身形に付いて少し触れました。
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私達日本人は何かいやなことがあった時、または、迷惑をかけられた時
よく、受け身形を使います。
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今月は、受け身形を使ういろいろな状況を紹介します。

受け身形についてぜんぜん知らない人は、文法を少し説明します。
ここをクリックしてください。

次の絵を見てください。
(NETSCAPE3.0)-><
すりが財布をぬすみましたね。これを受け身形で表現すると
(A) 「私はすりに財布をぬすまれた。」
(B) 「私の財布はすりにぬすまれた。」
となります。では、(A) (B) のどちらがよく使われるのでしょう。
こたえは (A)「私はすりに財布をぬすまれた。」です。
(1) 人が困っている状況を表現する時には受け身形を使いますが
その文の主語は普通困っている人になります。
「に」は、その人に何か悪いことをした人をさし、
「を」は、被害にあったものや、体の部分(足を踏まれた等)を指します。
日本語では、このタイプの受け身形で主語が物になることはあまりありません。

次の絵の状況を受け身形で表しましょう。
答えは
「私は犬に足をかまれた。」(または「私は足を犬にかまれた。」)
「いぬに」と「足を」の順序をいれかえても意味は変りません。

(2) では次の絵はどうでしょうか。

答えは
「私は課長にしかられた。」この場合は(1)で説明したような「を」で
示されるものはありませんね。

私達は前に「私達日本人は何かいやなことがあった時、または迷惑をかけられた時
よく、受け身形を使います」といいました。
でも、このタイプの受け身形はいやな気分を表すとは限りません。
「私は彼に呼ばれた。」
「私は彼に招待された。」
「私は彼に助けられた。」
「私は彼にほめられた。」
上の文はみな行為を受けた人の立場から書かれた文なのです。
(このタイプの受け身形でも、(1)と同じく主語にものが来ることはあまりありません。
たとえば「私は彼に名前を呼ばれた。」とは言いますが、
「私の名前は彼に呼ばれた。」とはあまり言いません。)

(3) ここの表現が皆さん方には一番難しいでしょう。
次の絵を見てください。

私達はこの状況を
「雨に降られた。」と表現します。
これは、雨にあったという事実に加えて困ったという気分も表します。
次の状況はどう言えばいいでしょうか。

(i)「父に死なれた。(そして、悲しい。)」
(ii)「子供に泣かれた。(そして、困った。)」というふうに言います。
もし、あなたがこの表現を上手に使えれば、あなたの日本語のレベルは
かなり高いといえるでしょう。

(4) 私達は、(1)で物が主語になることはあまりないといいましたね。
でも、あることが起きたけれどそれをした人を知らない時、また、それを
した人に特別な関心がない時、この時は物が主語になります。
「このビルは30年前に建てられた。」
「ワインはぶどうからつくられる。」
「英語は多くの国で話されている。」
その起きたことが話者にとって良くないことである時、この文はやはり話者の
不快な気分を表します。
「窓が割られ室内が荒らされていた。」

日本人は日常会話によくこの受け身形を使って気分を表しますよ。
次の二つの文を話した人がどんな気分かわかりますか。
(i) 「彼女に電話でおこされたよ。」
(ii) 「彼女が電話で起こしてくれたよ。」

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